NASなんていらなかった。|写真好きの料理人が、お金をかけずに家じゅうの写真をどこからでも見られるようにした話
こんばんは、ひろしです。
今日は、料理でも写真でもなく——「道具」の話です。
といっても、キッチンの道具ではありません。
スマホとパソコンの話。
Tailscale(テイルスケール)という、無料のアプリを紹介します。
結論から言うと。
僕はこのアプリのおかげで、ずっと欲しかったNAS(ナス)を、買わずにすみました。
家じゅうの写真を、どこからでも、iPhoneで見られるようになったからです。
説明していきます。
きっかけは、「外から家のMacを動かしたい」だった
あれは、そんなに大それた話ではありませんでした。
外出先で使っているMacBook Proから、家に置いてあるMac miniを操作したい。
ただ、それだけ。
調べていて出会ったのが、Tailscaleでした。
入れてみたら——ネット環境さえあれば、外出先から、家のMacがそのまま動かせる。
これだけでも、じゅうぶん重宝していました。

でも、本番はここからでした。
NASが、欲しかった
僕は写真が好きで、20年ぶんの写真を溜め込んでいます。
家のMac miniには、8テラのハードディスクが4台。
2台に写真を保存して、残りの2台に、同じものを複製してバックアップしています。
そして、NASという道具があります。
かんたんに言うと、家に置く、自分専用の写真とファイルの置き場。
外出先からもアクセスできるのが売りです。

どこにいても、家のハードディスクの写真や動画が見られる。
ずっと、欲しかった。
でも、ちゃんとしたものを揃えると、けっこう高い。
欲しいなあ、と思いながら、何年も買えずにいました。
写真が、多すぎた
これは少し別の話ですが。
写真が膨大すぎて、Macの「写真」アプリが、だんだん悲鳴を上げはじめました。
だから僕は、外付けのハードディスクに「2026年」「2026年7月」と、年と月のフォルダを作って保存しています。
ただ、この方法には、大きな弱点があって。
どこに何があるか、覚えていないと探せない。
Photo Mechanicという高速なソフトで探してはいたけれど——
「Macの写真アプリみたいに、AIが中身を見て、『子ども』とか『夕日』とか、言葉で検索できたらいいのに」
と、ずっと思っていました。
それなら、つくればいい
で、つくりました。
正確には、AI(Claude)に協力してもらって、僕専用の写真検索アプリをつくってもらいました。
名前は、フォトサーチ。

「夕日」と打てば、15万枚の中から夕日の写真が出てくる。
それだけじゃなくて——どのカメラで撮ったか。どのレンズで撮ったか。どこで撮ったか。
Lightroomのカタログでやっていたような検索まで、一瞬でできる。
溜め込むだけだった写真が、やっと「探せる資産」になりました。
道具がなければ、つくればいい。料理と、同じですね。
革命は、その次に起きた
ある日、ふと思ったんです。
「これ、iPhoneからも使えたらいいのに」
そこで思い出したのが、Tailscaleでした。
もう入っている。設定も済んでいる。
だったら、と試したら——すぐに、できてしまった。
iPhoneを開く。
フォトサーチに、「夕日」と打つ。
家のハードディスクの中から、夕日の写真が並ぶ。
ここは、家から何十キロも離れた場所なのに。
NASなんて、いらなかった。
ずっと欲しかった「どこにいても、家の写真ぜんぶにアクセスできる」は、無料のアプリで、もうできていました。
正直、革命でした。
しかも、初回の読み込みにこそ少し時間がかかったものの、二回目からは、iPhoneでもMacでも、爆速で表示される。
生活が変わったレベルで、すごい。
暮らしが、こう変わった
いま、こんなふうに使っています。
- 思い出が、その場で出てくる — 家族との会話中に「あの写真」をiPhoneで検索して、すぐ見せられる
- 動画も見られる — 家のハードディスクの動画を、外からiPhoneでもMacBookでも再生できる
- ブログが、どこでも完結する — iPhoneで記事を書いて、フォトサーチで写真を探して、iPhoneに保存して、そのままWordPressにアップ。全部、その場で終わる
- iPhoneで撮った写真を、選んでポンと家の棚へ — アプリの「iPhoneから追加」ボタンで、ケーブルなしで取り込み
- スマホの動画を、Macに直接送れる — Taildrop(テイルドロップ)という機能で、サイズ無制限。クラウドを経由しない
この Taildrop、使っていて思ったんです。
これ、距離のないAirDropだ、と。
僕がiPhoneとMacを使い続けている大きな理由のひとつが、AirDropという神機能の存在でした。
それが、距離に関係なくできてしまう。
もちろん、目の前の人にもポンと渡せるAirDropは、やっぱり神です。
Taildropで送れるのは、あくまで自分の端末どうし。
それでも——「離れていても、隣にいるみたいに送れる」のは、なかなかの衝撃でした。
それから、地味に、いちばん大きかったかもしれないのが——iPhoneの容量問題から解放されたことです。
僕は、料理と子どもたちの大事な写真を、いつでも見られるように、ずっとiPhoneに残していました。
だからiPhoneの中は常に写真でいっぱいで、「どれを消すか」に、いつも頭のリソースを取られていた。
その心配が、なくなりました。
全部、家にある。そして、いつでも見られる。
「消す写真を選ぶ時間」は、もう要りません。

僕との相性は、ものすごく良かった。
そして、同じことを求めている人は、けっこう多いんじゃないかと思っています。
古いMacBookが、蘇った
それから、うれしい誤算がひとつ。
僕のMacBook Proは、2018年のものです。
写真の現像は、だんだんしんどくなってきて。
バッテリーも、弱ってきて。
そろそろ買い替えかなあ、と思いつつ——最近のMacBook Proは、高くて買えずにいました。
でも、Tailscaleを入れてから、気づいたんです。
ネット環境さえあれば、外出先から、家のMac mini(M4 Pro)が全力で使える。
重い仕事は、家の新しいマシンに任せる。
手元の古いMacBookは、その「窓」になればいい。
古い相棒が、蘇ったように思えました。
新しいMacBookも——まだ、いらなかった。
Tailscaleって、あやしくないの?
無料でこれだけ便利だと、逆に不安になりますよね。
僕もなりました。信用に関わることなので、調べました。
- つくっているのは、カナダ・トロントの会社(2019年創業)。元Googleのネットワーク技術者たちが、Googleの社内で使われていた仕組みを、誰でも使える形にしたものです
- 土台は WireGuardという、世界中で検証されているオープンな暗号化技術。怪しい独自技術ではありません
- 無料の理由は、商売の仕組み。稼ぎは企業向けの有料プランで、個人の無料版は「家で使った人が、会社に持ち込んでくれる」ための宣伝。個人を無料にするほど、彼らは儲かる構造です
- 写真や動画は、Tailscaleのサーバーを通りません。iPhoneとあなたのMacが直接つながる仕組みで、通信は端末から端末まで暗号化。Tailscale社自身にも、中身は見えない設計です
- 実績:世界で1万以上の組織が導入していて、2025年には約240億円の大型資金調達をした、評価額2,000億円超の会社です
「無料だから怪しい」の、逆でした。
個人を無料にする理由が、ちゃんとある会社です。

Tailscaleでできること
僕が使っている機能を中心に、できることを並べます。
- お金をかけずに、NASのように — 家のパソコンに写真やファイルを置いて、外出先からアクセス(僕の使い方)
- スマホ⇄パソコンでファイル直送(Taildrop) — サイズ無制限。動画でもポンと送れる
- 外から家のパソコンを操作 — 画面を見ながら遠隔操作。「あのファイル家だ…」が消える
- 外のWi-Fiを安全に使う — カフェやホテルの回線でも、通信を暗号化して守れる
- 家族と共有 — 家族の端末も同じ輪に入れられる
- 全部無料・全部対応 — 個人利用は無料。Mac、iPhone、Windows、Android、全部いけます

安全のために、ひとつだけ。
Tailscaleは、初期設定のままなら「あなたの端末どうしだけの、鍵のかかった専用線」です。インターネットに公開する上級者向けの設定もありますが、この記事ではおすすめしません。初期設定のまま使う——これだけ守ってください。
小ワザ:共有メニューで、Tailscaleを先頭に
共有ボタンを押したとき出てくるアプリの列は、iOSが勝手に並べ替えます。列を左へ最後までスクロール →「その他」→ 右上の「編集」で、Tailscaleを「よく使う項目」に追加しておくと、いつも同じ場所に出てきて迷いません。



①「その他」→ ②「編集」→ ③「+」で追加 → ④ドラッグで並べ替え(画像はタップで拡大)
正直な話
「完全無料でNAS」と言うと、少し盛りすぎです。正直に書きます。
- ソフトは無料。でも、家に電源を入れっぱなしのパソコンが1台と、保存用のハードディスクは要ります(電気代も少し)
- うちはMac miniですが、使っていない古いパソコンでも大丈夫です
- フォトサーチは、僕がAIと一緒につくった自作アプリなので、そのままは配れません。でも、Tailscaleと標準の機能(ファイル共有・画面共有・Taildrop)だけでも、暮らしはかなり変わります
- いまは、AIに相談すれば、こういう「自分専用の道具」を一緒につくってもらえる時代です。僕は料理人で、プログラミングはできません。それでも、できました
参考までに、うちの写真棚はこの組み合わせです(8テラのHDD4本を、2ベイのケース2台に)。
ケースは、僕のと同じ2ベイタイプの現行型を置いておきます。
そして最後に、僕がハマった穴の話をひとつ。
外付けのストレージを何台も繋ぐなら、「どこに繋ぐか」が思った以上に大事です。
僕は最初、モニターに付いているハブ機能で足りると思っていました。
(モニター自体は、発色もきめ細かさも素晴らしくて、いまも大満足で使っています)
ただ、何台ものストレージをぶら下げる土台としては、役割が違ったようで。
外付けの接続が、ぷつぷつ切れる。
電力の問題なのか、原因もはっきりわからないまま、ずいぶん悩みました。
結局、CalDigit(カルディジット)TS4というドックに替えたら——一発で解決。
正直、高かったです。よく似た、もう少し安い製品もたくさんあります。
でも、写真棚の土台がぷつぷつ切れる不安と暮らすくらいなら、ここはいいものを。
ほんとうに、いい買い物でした。
ちなみに今のうちのMac miniまわりは、iPadから救い出したデータの整理もあって、HDDやSSDが何台もぶら下がっています。
見た目はさておき——どこからでもアクセスできる、自分だけの小さなデータセンターです(笑)
写真まわりの道具の話は、こちらでも書いています。
諦めていた夜のノイズが、消えた|DxO PhotoLabという現像ソフトの話
料理写真におすすめのカメラとレンズ|FUJIFILM X-H2Sと相棒レンズ3本
DJI Osmo Pocket 3レビュー|子どもを撮るパパのワンオペ撮影記
まとめ
NASなんて、いらなかった。
正確に言えば——「僕の場合は」、いらなかった。
家にパソコンが1台あって、写真を見たい、動画を見たい、ファイルを送りたい。
それくらいなら、無料のTailscaleで足ります。
おまけに、古いパソコンまで蘇ります。
浮いたお金で、レンズが一本買えます(笑)
本日もお読みいただき、ありがとうございました。
それでは、おやすみなさい。
今日の1曲
今日の1曲は、くるりの「ハイウェイ」。
映画『ジョゼと虎と魚たち』の主題歌です。
旅がはじまる予感だけで、胸がいっぱいになる——そんな、道の歌。
家と外のあいだに、自分だけの専用道路が通った話を書いた日に、これ以外は思いつきませんでした。
くるりの中でも、特別に好きな一曲です。
僕が旅に出る理由はだいたい百個くらいあって
ひとつめはここじゃどうも息も詰まりそうになった
ふたつめは今宵の月が僕を誘っていること
みっつめは車の免許とってもいいかな
なんて思っていること
俺は車にウーハーを(飛び出せハイウェイ)
つけて遠くフューチャー鳴らす(久しぶりだぜ)
何かでっかい事してやろう
きっとでっかい事してやろう

