【16年イタリアンの料理人が選んだ】料理写真を逆光で撮るカメラ|FUJIFILM X-H2S と相棒レンズ3本
こんにちは、ひろしです。
今日のテーマは、料理写真を撮るためのカメラ、について。
イタリア料理の現場で16年、写真を趣味として20年以上やってきました。
いま使っているのは、FUJIFILM X-H2S をメインに、X-T5 をサブとした2台体制。
レンズは、大三元と神レンズと呼ばれる単焦点で、料理も家族も、同じ熱量で撮っています。
結論から言うと、
料理人で、写真も好きで、子供がいる僕の答えが、今の組み合わせでした。
説明していきます。
カメラに本気になった、本当の理由
「料理写真のためにカメラを選んだ」と言ったら、それは半分本当で、半分は嘘です。
正直に言うと、僕がカメラに本気になった本当の理由は、子供を撮るためでした。
それまでは、X100s と X-T1 に 50mm レンズ。
スナップ中心の生活で、それで十分だったんです。
でも、子供が動き出してから、世界が変わった。
レンズ交換してる暇なんて、なかった。
決定的な瞬間は、待ってくれません。
単焦点レンズが大好きだった僕は、必然的に 2台体制 になりました。
最初の2台体制は、X-T3 と X-Pro2。
それぞれのカメラに違う焦点距離の単焦点レンズを付けて、首から左右にぶら下げる。
子供の動きに合わせて、瞬時にカメラを持ち替える。
そのあと、X-Pro2 を X-Pro3 へ。X-T3 を X-T5 へ。
少しずつ、機材をアップデートしていきました。
子供が成長するにつれて、また体制が変わります。
単焦点2本では、もう足りなかったんです。
走り回る子供を遠くから撮るとき、ズームが必要になった。
ズームを活かすには、AFスピードと連射性能が決定的に重要になる。
そこで辿り着いたのが、いまのメイン機 X-H2S でした。
X-Pro3 は今も手元に置いたまま、X-H2S を新しく迎えた形。
現在のメイン体制は、X-H2S と X-T5 の組み合わせ。
単焦点1本+ズーム1本、または、ズーム2本で動く、というのが今の体制です。
料理写真が上達したのは、子供を撮るために本気で機材と向き合った、その副産物でした。
料理写真は「光が9割」だと気づいた
カメラに少し詳しい人なら知っている話。
料理写真の善し悪しは、光で9割決まります。
機材より、圧倒的に光。
そして料理写真には、自然光、それも「逆光」が圧倒的に合う。
なぜ逆光なのか
- 湯気が白く浮かび上がる(順光だと湯気はほぼ写らない)
- 料理のつや・テリが立つ(油や水分の反射が立体感を生む)
- 食材の縁取りに光のラインが入る(パセリの葉、肉の脂、ソースの境界)
- 背景が自然に暗くなって主役が浮き上がる
レストランの照明をシェフが調整するとき、必ず料理に対して斜め後ろから光を当てます。
料理写真も、まったく同じ理屈です。

なぜ FUJIFILM だったのか
カメラメーカーは、いろいろ試しました。
でも、辿り着いたのは FUJIFILM でした。
理由は3つ。
① フィルムシミュレーションの色が、料理に合う
FUJIFILMには「フィルムシミュレーション」という、カメラの中で色味を作る機能があります。
これが、料理写真と相性抜群。
RAWで撮って後から色を作る人もいますが、僕は撮って出しでほぼ完成する FUJIFILM の色が、そのまま好きです。
② 「道具感」が、料理人の感性とハマる
FUJIFILMのカメラは、シャッタースピードや絞りのダイヤルが 物理的についている。
これが、料理人にとって不思議なほど嬉しい。
包丁の重さ、フライパンの取っ手、塩を振る指先。
料理は、数字じゃなく 手で覚える仕事 です。
FUJIFILMのダイヤルを回す感触は、料理人の体に馴染みやすいんです。
③ レンズの個性が、強い
FUJIFILMの単焦点レンズには、それぞれに はっきりとした性格 があります。
これについては、後で詳しく書きます。
【メイン機】FUJIFILM X-H2S — 唯一無二の積層センサー
2022年に発売された、現FUJIFILMのフラッグシップ機。
このカメラを選んだ理由は、シンプルに「瞬間を逃さないため」。
X-H2Sには、富士フイルムで唯一無二の 積層型センサー が搭載されています。
これが、フォーカススピード、連射速度、ともに 富士フイルム最強 を生んでいる。
子供のはじめての一歩。
小さな手のひらが、何かをつかんだ瞬間。
湯気が料理から立ち上る、ほんの一秒の表情。
そういう「もう二度と来ない瞬間」を、X-H2Sは確実に捉えてくれます。
僕にとってこのカメラは、料理人としての相棒であると同時に、父親としての相棒でもあるんです。
【サブ機】FUJIFILM X-T5 — 軽くて頼れる相棒
X-H2Sがメインだとしたら、X-T5は別方向の機能美を持っています。
4,020万画素と、メインより画素数が多く、写真特化。
軽くてコンパクトなので、ケータリングや出先での撮影、家族とのお出かけにはこちらを持ち出すことが多い。
「2台もいる?」と、聞かれることがあります。
でも、子供を撮るためにカメラを首から2台ぶら下げるようになった僕にとって、2台体制は必然でした。
レンズ交換をしている間に、決定的な瞬間は終わってしまう。
違う焦点距離のレンズを2台に付けて、瞬時に持ち替える。
これが、子供と料理、両方を撮り続けるための僕の答えです。
主力レンズ3本
レンズは「大三元 + 神レンズ」の構成です。
① XF50mm F1.0 R WR — 開放で世界が溶ける
世界初の オートフォーカス対応F1.0レンズ。
F1.0で撮ったときの、溶けるようなボケ。
料理の主役だけにピントが合って、背景が絵画のように消えていく。
家庭料理を撮ってもレストランの一皿に見えてしまう、反則レベルの1本です。
② XF16-55mm F2.8 R LM WR — 万能ズーム
FUJIFILMのプロ向け標準ズーム。35mm換算で 24-84mm相当、F2.8通し。
料理写真では、引きで全体を見せるとき、調理工程を撮るとき、複数皿の俯瞰など、万能に活躍。
子供のスナップにも、コース料理の現場にも、これ1本あれば仕事になります。
③ XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR — 寄って攻める望遠
プロ向け望遠ズーム。35mm換算で 76-213mm相当。
料理写真で望遠? と、思うかもしれません。
でも、寄って撮る・圧縮する・背景を綺麗にボカす用途で、このレンズは化けます。
運動会の子供を、遠くから狙うのにも最高です。
レンズに対する、僕の考え方
絞りは、基本的に 開放 です。
正直に言うと、開放が好きなんです。
理由は、収差。
レンズには、構造上どうしても発生する歪みや色のにじみ「収差」というものがあります。
これを「悪」と捉える人もいるけれど、僕は逆。
収差も含めて、そのレンズの個性であり、特性だと思っています。
XF50mm F1.0 R WR の、F1.0で撮ったときの、溶けるようなボケと、縁の少しの色にじみ。
これが、そのレンズが切り取る「世界の表情」です。
巷で 神レンズ と称される XF35mm F1.4 も、僕は大好きで、いまも持っています。
解像感だけが、レンズの全てではない。
僕にとっての至高のレンズは、
収差も含めて、その場の空気を閉じ込められるレンズ。
空気ごと、写し込めるレンズ。
それが、僕の答えです。
逆光で料理を撮る、僕の設定
機材より大事な話。
実際に僕が、逆光で料理を撮るときの設定です。
ホワイトバランス
基本は オート に任せます。
ただ、明らかに色がおかしいときだけ、ケルビン値で手動調整。
FUJIFILMのオートはかなり優秀なので、9割はそのままで大丈夫です。
露出補正
明るめが好きです。
料理を撮るときは、+2/3〜+1段 くらい振ることが多い。
場合によっては、白飛び上等。
明るい食卓のあの空気感を、そのまま伝えたいんです。
ただし、料理によっては、あえて 暗めに撮る こともあります。
たとえば、プレッツェル。

香ばしさ、焼きの深さ、表面のザラつき。
これらを伝えるには、明るくしてしまうと逆効果です。
暗めに、影を残して撮る。
それが、その被写体の「ほんとう」を伝える方法だと思っています。
フィルムシミュレーション
3つを使い分けています。好きな順は:
- ASTIA(アスティア) — やわらかい階調が好き。料理にも、家族のスナップにもよく合う
- PRO Neg. Hi(プロネガハイ) — 肉やパスタ、コクのある料理に
- クラシッククローム — 落ち着いた、しっとりした一皿に
絞り
基本は 開放。
F1.0のレンズなら、F1.0で。
F2.8のレンズなら、F2.8で。
もちろん、料理によってはボケすぎて困るときもあります。
そういうときは、ひとつ絞る。
でも基本は、そのレンズが一番その個性を発揮する 開放 で撮りたいんです。
結局、いくらかかってるか正直に言う
正直に書きます。
- FUJIFILM X-H2S:約33万円
- FUJIFILM X-T5:約25万円
- XF50mm F1.0 R WR:約45万円
- XF16-55mm F2.8 R LM WR:約20万円
- XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR:約20万円
合計:約143万円。
「家計赤字8万円なのに、何やってるんだ」と、言われそうです。
実際、妻にも言われました。
でも僕にとって、これは 道具への投資 なんです。
料理人としてフライパンや包丁にお金をかけるのと同じ感覚で、自分の表現と家族の記録のための機材にお金をかけている。
そして実際、これらの機材で撮った写真が、La Feniceのケータリングの宣伝になり、Instagramのフォロワーが増え、結果的に仕事にも繋がっています。
道具は、いずれ自分に返ってくる。
家計赤字でも、自分の表現と、家族の記録は、諦めない。
そんな気持ちで、今日もシャッターを切っています。
これから料理写真を始める人へ
ここまで読んでくれた人の中には、「自分も料理写真を撮ってみたい」と思った方がいるかもしれません。
正直、最初から僕と同じ機材は必要ありません。
X-T5 と XF16-55mm F2.8 の組み合わせ があれば、ほぼ全領域いける。
そこから撮り続けて、もっと欲が出てきたときに、XF50mm F1.0 を足せばいい。
大事なのは、機材より 「光を見る目」 です。
窓の方向を意識して、料理に対して斜め後ろから光が当たる位置を探す。
それだけで、写真は劇的に変わります。
料理写真は、料理を作るのと同じくらい、楽しい。
家族との食卓を、もっと美味しい記憶として残してみませんか。
あわせて読みたい
同じ「プロが家で本当に使ってる」シリーズの第1弾はこちら。
↓
【プロが家で本当に使ってる】16年イタリアンの料理人が、家計赤字8万円でも続けてる「毎日のオリーブオイル」3本
料理写真と、料理そのもの。両方にこだわると、食卓はほんとうに変わります。
本日もお読みいただき、ありがとうございました。
それでは、おやすみなさい。
今日の1曲
忌野清志郎「JUMP」
もしも願いが ひとつ叶うなら
君のとなりで 暮らしてゆけたら いいな
カメラを構えるたびに、僕はこの歌を思い出します。
シャッターを切るのは、願いを叶えることに似ている。
「君のとなりで暮らしてゆけたら」と願う、その日々を、写真に残せていることの幸せ。
家計赤字でも、何十万のレンズに妻が渋い顔をしても、僕がカメラを手放せない理由は、たぶん、それです。
JUMP!
飛び越えていけ。
📷 La Feniceのケータリング・イベント出店のご依頼は 公式サイト から。Instagram でも料理の写真を、@monocromia__ ではスナップを公開しています。
