もう二度と、あの悔し涙を流さないように|子どもの初めてのカメラに、PENTAX WG-1000を選んだ話
こんばんは、ひろしです。
今日は、子どものカメラの話をさせてください。
結論から言うと、うちの長男のカメラは、PENTAXのWG-1000です。
でも、この記事で書きたいのは、機種のことだけではありません。
子どもがカメラを持つと、なにが起きるか。その話です。
子どもたちは、写真を撮る
うちの子どもたちはふたりとも、写真を撮ります。僕の影響なのかは、わかりません。
長男が最初に使っていたのは、CanonのIXY。そのあと、親戚の叔父さんから、カシオのEXILIMをもらいました。20年前のカメラです。充電は、スタンドに載せる方式。今の子はたぶん見たことがない仕組みです。
IXYは、弟へ。カシオは、長男の相棒になりました。
古いカメラだけど、写真も動画も撮れる。フラッシュもついている。彼のお気に入りでした。
ただ、僕にはずっと、気がかりがふたつありました。
20年もののバッテリーは、前触れなく突然切れること。そして予備のバッテリーは、もう売ってすらいないこと。

あの夜のこと
去年の11月、家族でハウステンボスに行きました。
その旅の夜、噴水のショーの撮影がはじまってすぐ、彼のカメラのバッテリーが尽きて、彼は悔し涙を流しました。
そのときのことは、旅の記事に書きました。ここでは繰り返しません。
ただ、あの涙を、僕は一生忘れられないと思います。
11秒の、噴水
この記事を書くために、彼のSDカードのバックアップを見返していて、見つけたものがあります。
あの夜の、噴水の動画です。
21時29分38秒。撮影開始。11秒でとまっています。
21時30分06秒。もう一度、撮りはじめる。今度は、2.7秒。
そこで、終わっています。
暗くて、ブレていて、20年前のカメラに夜のショーはほとんど写らない。それでも彼は、撮ろうとした。
ちなみに僕のカメラの録画開始は、21時30分18秒でした。彼のカメラが力尽きた、9秒後です。
そして翌朝。一晩休んだバッテリーは、一度だけ生き返って、彼はその最後の力で、また撮っていました。
カメラを選びに行く
帰ってから、彼とカメラ屋さんに行きました。
ところで——出雲のカメラ屋さんには、びっくりするくらい、カメラがありません。店頭に並んでいないんです。
カメラ好きなので、どの店に何があるかは、たぶん出雲で僕がいちばん知っています(笑)
その日も、見つけるのは難しいだろうなと思いながら、いちばん品揃えのいい店に行きました。
そこで彼が、即決したんです。
PENTAXの、WG-1000。
見た目はとてもいいと、僕も思いました。タフネスカメラだし。でも、「少し調べさせて」とお願いしました。僕には、譲れない条件が4つあったからです。
- バッテリーが、突然死なないこと
- 落としても、濡らしても、壊れないこと
- SDカードに、写真がたくさん入ること
- フラッシュがついていること
それで、あとから調べてみたら。
全部、満たしていました。防水も、耐衝撃も、バッテリーも、SDカードも。しかも、価格まで。
品揃えの少ない店どころか、そのときインターネットも含めて売っているカメラの中で、僕がいちばんいいと思えるものを、彼は店頭で、即決していました。
うちの子には、なんというか、不思議なところがあります。子どもってそういうものなのかもしれないけれど、本質を見抜く力があると思うんです。これは、大人には真似できない。
だいたいにおいて、彼の選択は正しい。
僕は、彼を信じています。

正直なスペックの話
WG-1000は、いわゆるタフネスカメラのエントリーモデルです。
PENTAX WG-1000(2024年6月発売)
- 水深15mで1時間つかっても大丈夫(IPX8)
- 高さ2mからの落下テストをクリア
- SDカードは512GBまで対応
- USB Type-C充電。バッテリーは新品が普通に買える
- フラッシュ内蔵。約1635万画素、光学4倍ズーム
- 実売はだいたい3万円前後
正直に書いておくと、できないこともあります。
Wi-Fiがないので、スマホに写真を送れません。4K動画も撮れません。あと、モバイルバッテリーでの充電は、メーカーが「行わないでください」としています。充電は付属のアダプターで。
でも、スマホに送れないことは、うちでは欠点になりませんでした。
SDカードを僕のパソコンに挿して、ふたりで画面を見ながら取り込む。それが、いつのまにか、うちの習慣になったからです。
ひとつ上の機種だと、OM SYSTEMのTG-7というカメラがあります。ただ、値段が倍します。子どもの最初の一台なら、僕はWG-1000で十分だと思います。
彼の作品たち
ここからは、彼の写真を見てください。
本人に「ブログに載せていい?」と聞いたら、喜んでOKをくれました。
まずは、いちばん撮っているもの。ウルトラマンです。





ソフビを並べて、位置を直して、また撮る。彼の「劇場」です。
それから、水族館。


水族館では、フラッシュが使えません。彼はフラッシュを切って、いつもどおりに撮りました。だから、ぜんぶブレています。
でも、魚を撮りたくてたまらなかったことだけは、ちゃんと写っています。
そして、あの旅。ハウステンボスを、彼のカメラはこう見ていました。





弟の帽子ごしに撮った一枚が、僕は好きです。すぐ前に、弟がいる。これが、彼の目の高さです。
帰りの新幹線では、眠っている家族を、延々と撮っていたようです。
そして今も、撮り続けている
ここからは、彼のSDカードから、時系列で。
いちばん古いのは5歳、いちばん新しいのは今年。
















並べてみて、僕もはじめて気がついたことがあります。
彼は、好きなものを撮る。ただそれだけ。だから何年経っても、写っているのは同じ、彼の「好き」です。
かれの、たからもの
カシオ時代のSDカードは、バックアップをとったあとも、中身をそのまま残してあります。
彼が、そうしてほしいと言ったからです。
子どもの撮った写真は、大人の写真とはちがうものです。上手いとか、下手とかではなくて。
好きなものに、まっすぐ寄っていく。ブレてもかまわず追いかける。大人が撮らない角度から、世界を見ている。
それは、その歳のその子にしか、撮れないものです。
だから僕は、SDカードの中身を消しません。
あれは、かれのたからものであると同時に、いつか大人になった彼への、彼からの贈りものだと思うからです。
そして、弟のカメラも決まりました
これは、この記事を書いている途中で、突然おきたことです。
ある日、弟が言いました。
そろそろ、兄のようなカメラが、ぼくもほしい。
兄は、リアルな店で即決しました。今度の弟は、インターネットのカメラの写真を見て、即決でした。
子どもは、選ぶ場所が違っても、選び方は同じでした。
今度も、僕は「少し待って」と言って、調べました。
ほぼ、完璧でした。
選んだのは、コダックの、黄色いタフネスカメラ。PIXPRO WPZ2という名前の一台です。
水中撮影OK。落下OK。画素数OK。値段も、優しい(実売2万円台前半)。
気になったのは、二点だけ。
- SDカードは microSDHC の32GBまで(兄のWG-1000は最大512GBのフルサイズSDだった)
- 充電はマイクロUSB(兄のはType-Cだった)
いまはUSBはType-Cがほとんどで、SDカードも大きいものが安く手に入る時代です。ほんとうはType-C・大容量SD対応のほうがよかった。でも、ビジュアルで一目惚れした、その一台です。この二つは、僕が、なんとかしようと思いました。
兄には、誕生日でもクリスマスでもない、なんでもない日に買ってあげました。だから、弟にも同じように——少し痛手だけど、買いました(笑)
兄はオリーブ。弟は黄色。おそろいじゃないけれど、それでいい。それぞれの目に、映るものが違うから。
ひとつだけ、あとから知った小さな秘密があります。この黄色いコダックと、兄の黒いペンタックスは、じつは同じ工場でつくられた兄弟機だそうです。子どもたちがそれぞれ別に選んで、それぞれの好きな色を選んで、中身はたまたま同じところにたどり着いた。
それも、いいと思うのです。
そして、この記事のいちばん最後の一枚は——

今日の一曲
今日の一曲は、U2の「Into the Heart」——デビュー・アルバム『Boy』(1980)の4曲目、3分半に足りないくらいの短い曲です。
録音のとき、メンバーはまだ18歳から20歳。少年からちょうど大人へと押し出されていく側の、若い声で歌われています。
歌の言葉は、ほんの少しだけ。何度もくり返されるのは——子どもの心の中に、行くことができる。そこでは、笑える。少しの間、いられる。ただ、それだけ。
大人になっていろんな複雑さや傷を抱えるずっと手前にあった、澄んだ場所。訪ねていくことはできても、そこに住むことはできない。そういう歌です。
息子たちが撮った、レゴのブレたサンタも、遊具の玩具の接写も、口元だけのミニオンの自撮りも、ぼくにとってはその「訪ねていける場所」なのだと思います。
まだ彼らがそこに住んでいるうちに——せめてその入口を、一枚ずつ、遺しておこう。そう思うのです。
Into the heart of a child
I stay awhile
But I can go there
Into the heart of a child
I can smile
I can go there
Into the heart
Into the heart of a child
I can go back
I can stay awhile
(Into the heart)
Into the heart
本日もお読みいただき、ありがとうございました。
それでは、おやすみなさい。
あわせて読みたい
- 二十時のハウステンボス|遅れて着いた夜と、まる一日のフォトログ——このカメラを選ぶきっかけになった、”噴水の夜”の全記録。
- 諦めていた夜のノイズが、消えた|DXO PhotoLabという救い——父のカメラの話。夜の写真をあきらめないための道具。
- 世界は、歌でできている|「今日の一曲」がはじまった夜のこと——このブログの最後に必ず一曲を置くようになった、その由来。
