まな板は、プラスチックでいい。でも——|イタリアン料理人と、木のまな板
こんばんは、ひろしです。
今日は、まな板の話をします。
結論から言うと、まな板は、プラスチックでいい。
僕は、そう思っています。
世の中には、「木のまな板が最高」という記事が、たくさんあります。
その気持ちも、わかります。
でも、現場の実感は、もうすこし複雑です。
イタリア料理の現場に立って20年。
店の厨房で木のまな板を使ったことは、ほとんどありません。
それなのに。
オリーブの木のまな板だけは、店でも使ってしまっている。
この矛盾の話を、順番に、説明していきます。
店の厨房は、プラスチック一択です
まず、店の話から。
うちの店のまな板は、プラスチックが二枚です。
大きいのが一枚と、小さいのが一枚。
大きいほうは、横が1mくらい。厚さは3cmほどあります。ふだんのメインです。
小さいほうは、横50cm、奥行き30cm、厚さ1.5cm。ちょっとした作業のときに使います。

なぜプラスチックなのか。
理由は、はっきりしています。
- 水を吸わない
- 漂白剤に強い。汚れたら、リセットできる
- 濡れたまま立てかけておいても、反らない
- 肉・魚・野菜で、板を使い分けやすい
- 傷んだら、迷わず買い替えられる
弱点は、熱だけ。
熱いものを直接置くと、そこだけ傷みます。
逆に言えば、その一点を除けば、業務用としては最強だと思っています。
営業が終わったら、洗って、漂白して、立てかける。
次の朝には、まっさらにリセットされている。
この気楽さが、営業の速さを支えてくれます。
修行先で「まな板はこうしろ」と教わった記憶は、ありません。
現場で働くうちに、自然とそうなっていました。
体で覚えていく、そういう世界でした。
国の大量調理向けの衛生マニュアルにも、木のまな板は「極力避けることが望ましい」という書き方で出てきます。
禁止、ではありません。
でも、現場の空気は、だいたいそういうことです。
木のまな板に憧れがないわけじゃないんです。ただ、営業中は衛生と速さがすべて。プラがいちばん、気が楽なんです。

それなのに、オリーブの板だけは店でも使っている
ここまで書いておいて、なんですが。
うちの店には、プラスチックのほかに、木のまな板が一枚だけあります。
オリーブの木の、小ぶりなまな板です。
— 少し、寄り道を —
あのオリーブの板は、隠岐のセレクトショップで買ったもの、だったと思います。
小ぶりで、木目がうねっていて、手に取った瞬間に、連れて帰ることを決めていました。
まな板を「一目惚れ」で買ったのは、あとにも先にも、あの一枚だけです。
これが、よく働くんです。
イベントやケータリングのとき、大きいプラのまな板は、重すぎて運べません。
だから、小さいプラの板と、このオリーブの板を荷物に入れて、現場へ行きます。
オリーブの板のいいところは、切って、そのまま、お皿として出せること。
チーズを切って、そのまま。
フォカッチャを切って、そのまま。
パンや生ハムを板ごとテーブルに置けば、それでもう一皿になる。
まな板が、そのまま食卓の景色になるんです。
お客さまの目も、ぱっと明るくなる。
プラのまな板を、お客さまの前には、出せません。

衛生の理屈で選ぶなら、プラ。
人の前に出したくなるのは、木。
まな板には、ふたつの顔があります。
オリーブの板だけは、理屈の外にいる。
道具というより、うつわに近い場所にいるのかもしれません。
「プラ最強」と言った口で、オリーブの板を荷物に入れている。人間って、そういうものだと思います(笑)
オリーブは、油分が多くて、硬い木です。
小さな一枚でも、ずっしりと詰まった感じがあります。
手に入りやすいのは、フランスのベラールという老舗のもの。
小さいもので3,500円くらいから(2026年7月時点の目安です)。
木のまな板は、削れば、蘇る
木のまな板には、プラには真似できないことが、ひとつだけあります。
削り直せることです。
表面が傷だらけになっても、黒ずんでも。
鉋(かんな)をかければ、新品みたいな面が、下から出てくる。
僕は前に、桜の木でカッティングボードを自作したことがあります。

削って、形を整えて、面を出して。
木は、手をかけた分だけ、ちゃんと応えてくれる素材でした。
削りたての木の匂いも、いいものです。
鉋をかけたあとの、削りたての木の面は、ほんとうにきれいです。
あの面が、使い込んだ板の下に、ずっと眠っている。
プラのまな板は、傷んだら、買い替える。
木のまな板は、削って、また使う。
道具としての、時間の流れ方が違うんです。
ここだけは、木だけの魔法だと思っています。
「鉋なんて持っていないよ」という方へ。
いまは、郵送で削り直してくれる木工所があります。
送って、削ってもらって、返してもらって、2,500円くらいから(2026年7月時点の目安です)。
削るたびに2〜5mmほど薄くなるので、無限にできるわけではありません。
だから、木を長く使うつもりなら、最初から少し厚めの板を選んでおくと安心です。
それでも、傷だらけの一枚が、もう一度きれいな面に戻ってくる。
メーカーによっては、厚みのある自社の板なら削り直しの工賃は無料、というところもあります。
最初から「削り直し券」がついてくるまな板もあります。
買い替える道具ではなく、育てていく道具。
木のまな板の値段には、その時間も含まれているのだと思います。
以前、包丁研ぎの記事で「失敗しても、やり直せる」と書きました。
木のまな板も、おなじ側にいる道具です。
包丁と、まな板の相性
料理人としてまな板を見るとき、いちばん気になるのは、じつは衛生よりも、包丁との相性です。
木は、刃にやさしい。
プラの上では、コツコツ。木の上では、トントン。
手に返ってくる音と感触が、まるで違います。
おもしろい話を、ひとつ。
研ぎたての包丁で木のまな板を使うと、刃が木に食い込むことがあります。
刃先を守る「小刃」をつけていない、ピンピンの状態の包丁だと、なおさらです。
調べてみたら、これは刃物の専門店でも「ちゃんと研げている証拠」と説明されていました。
最初は、ひやっとしました。
でも、少しうれしくもある。ちゃんと研げている、ということなので。
僕が使っている包丁のことは、包丁の記事にまとめています。

木の硬さの話も、しておきます。
オリーブも、桜も、硬い木です。
ふだん使いの刃なら、食い込みにくく、傷もつきにくい。
さっきの「食い込む」は、刃の鋭さの話。
こちらは、木の硬さの話。
硬い木でも、研ぎたてのピンピンの刃なら、食い込みます。別の話なんです。
いっぽう、うちの自宅の木のまな板は、柔らかい。
包丁の傷が、どんどん溜まっていきます。
調べていて、意外だったことがあります。
柔らかい針葉樹のまな板なんて、あるんだろうか。そう思っていたら、家庭の定番のひのきが、まさに針葉樹でした。
木の硬さは「気乾比重」という数字で、だいたいの見当がつきます。
| 木 | 比重の目安 | 感触 |
|---|---|---|
| 桐 | 0.24 | とても軽く、柔らかい |
| 杉 | 0.38 | 柔らかい |
| ひのき | 0.41 | やや柔らかい |
| いちょう | 0.49 | 中間 |
| 山桜 | 0.60 | 硬め |
| 欅(けやき) | 0.70 | 硬い |
| オリーブ | 0.9前後 | とても硬い |
店のオリーブの板は、表のいちばん下です。
小さいのにずっしり重いのは、そういうことでした。
ざっくり、針葉樹は柔らかめ、広葉樹は硬め、という傾向があります。
ただし、桐のように「広葉樹なのに、いちばん柔らかい」という例外もあります。
昔ながらのまな板材として知られるいちょうも、木材の世界では針葉樹の仲間として扱われることが多い、少し不思議な木です。
だから、言い切らないでおきます。
傾向はある。でも、例外もある。
木は、そういうものみたいです。
うちの柔らかい板は、おそらく針葉樹なのだと思います。ひのき系でしょうか。
素材の表示は、もう残っていません。
柔らかい板は、刃にやさしいぶん、傷がつきやすい。
硬い板は、傷に強いぶん、刃には少しだけ厳しい。
どちらが上、ではありません。
ここも、選び方の話です。
家庭では、どう選ぶか
結論は、シンプルです。
ズボラに使いたい人は、プラスチック。
手入れができる人は、木。
どちらかが正解、ではありません。
自分の暮らし方に、どちらが合うか。それだけです。
プラスチックが合うのは、こんな人です。
- 洗ったら、食器と一緒にさっと片づけたい
- ときどき漂白剤で、まるごとリセットしたい
- まな板のことを、あまり考えたくない
木が合うのは、こんな人です。
- 洗って、立てて、乾かす。それを毎日つづけられる
- 包丁への当たりを、大事にしたい
- 削り直してでも、一枚を長く使いたい

うちでは、子どもも野菜を切ります。
家庭のまな板は、家族みんなの道具です。
洗って、拭いて、しまうところまでを考えると、家庭の道具は「無理なく続くこと」がいちばん大事だと思っています。
プラを選ぶときの注意は、ひとつだけ。熱です。
ふつうのプラまな板の耐熱は、70〜90℃くらい。
熱い鍋やフライパンをちょっと置くと、そこだけ波打ちます。
厚みについて。
うちの店のメインの板は3cmの分厚いものですが、あれは業務用。毎日何時間も叩かれる前提の厚さです。
家庭のプラなら、扱いやすさと洗いやすさで選んで大丈夫です。
「プラは反らない」とよく言われますが、それは水の話。
濡れたまま立てかけても平気なのは、現場でも実感しているとおりです。
でも、熱には反ります。
気になる方には、耐熱100℃クラスの「スーパー耐熱」というタイプもあります。
5,000円台くらいから(2026年7月時点の目安です)。
それから、食洗機で洗いたい方は、「食洗機対応」の表示を確かめてください。
家庭ではマーナやエピキュリアンなど、食洗機に入れられるものが定番になっています。
プラの替えどきは、年数ではなく、状態で。
深い傷が増えて、漂白しても黒ずみが戻らなくなってきたら、そのときが替えどきだと思います。
ついでに、プラの汚れの小ワザも。
- にんじんのオレンジ色は、油になじむ色素。油をつけてこすると落ちやすい
- カレーの黄ばみは、日光に当てると薄くなっていく
- メラミンスポンジは、表面に細かい傷をつけて、かえって汚れやすくするとされます。僕は使いません
木なら、手に入りやすい定番は、ひのき。
2,000円くらいからあります(2026年7月時点の目安です)。
青森ひばも、まな板の世界では人気の木です。
さきほどの削り直し券付きの板は、このひばです。
— 少し、寄り道を —
まな板の「厚み」の話です。
和食の厨房には、舟形のシンクにまな板を渡して使う文化があります。
橋のように渡すので、薄い板だと、しなって困る。
だから和食のまな板は、厚みが大事なんです。
厚いほうが安定はします。でも、高くて、重い。
家庭で、シンクに渡すような使い方をしないなら、厚さは「持ちやすさ」と「洗いやすさ」で選んで大丈夫です。
木の手入れと、わが家の失敗談
木を選ぶなら、手入れの話は避けて通れません。
先に、わが家の失敗談を。
妻の木のまな板が、一枚あります。
洗わずに置いてしまった日があったり、乾かしが甘かったり。
気がついたら、黒ずみが出ていました。
洗っても取れない臭いも。
柔らかい素材なので、包丁の傷が溜まって、そこに入り込んだ汚れが取れない。
木のまな板は、さぼると、ちゃんとこうなります。
妻を責める話ではありません。
僕自身、店では手入れの楽なプラに頼っているわけですから。
木とは、そういう素材だ、という話です。
生乾きのまま置かれる日が続くなら、木は向いていない。
それなら、漂白でリセットできるプラのほうが、ずっと清潔に使えます。
手入れの基本は、これだけです。
- 使う前に、両面をさっと水で濡らす(片面だけ濡らすと、反ります)
- 使ったら、なるべく早く洗う
- 熱湯をかけるなら、先に水で洗ってから(肉や魚のタンパク質は、先に熱湯をかけると固まって、こびりつきます)
- 風通しのいい日陰に立てて、しっかり乾かす
乾かす時間は、思ったより長くかかります。
できれば、丸一日。
だから、二枚を交互に使えると理想です。
食洗機は、木のまな板には使わないほうが安心です。
熱と乾燥で、割れたり反ったりします。
塩素系の漂白剤も、木には向きません。
液を吸い込んでしまうし、黒ずみの正体(木の中のカビ)までは届かないからです。
木の黒ずみのリセットは、漂白ではなく、削り。
プラとの、いちばん大きな役割の違いです。
ただし、長年放置した深い黒ずみは、削っても取り切れないことがあります。
だから、木は「黒ずむ前に乾かす」が、いちばんの手入れです。
木のまな板は、乾かす時間まで含めて「使う」。
それができる暮らしかどうかが、木とプラの分かれ道だと思います。
手入れというと大げさですが、要は「洗って、立てて、乾かす」。それを毎日つづけられるかどうか、なんです。
オイルの話も、正直に書いておきます。
木のまな板やカッティングボードには、乾燥を防ぐために、たまに油を塗り込みます。
塗るのは、洗って、しっかり乾いてからです。
油を塗る理由は、木の割れと反りのおもな原因が「乾湿のくりかえし」だからです。
濡れてふくらみ、乾いてちぢむ。これを繰り返すうちに、木は疲れていきます。
油が染みた層は、水の出入りをゆるやかにしてくれます。
急な乾燥からも、守ってくれる。
カビや匂い移りが減るのも、水が入りにくくなるからです。
じつは、ギターを自作したとき、オイルフィニッシュという仕上げを選んだことがあります。
塗膜で覆うのではなく、木に油を染み込ませて守る、昔ながらのやり方。
まな板の油塗りも、あれと同じことなんです。
僕は、たまにオリーブオイルをごく薄く塗り込んで、拭き上げています。
イタリアンの厨房には、いつでもオリーブオイルがあるので。
ただ、調べてみると、主流のおすすめは、食品用のミネラルオイルや、亜麻仁油のような乾きやすい油です。
オリーブオイルは乾きにくい油なので、塗りすぎるとベタついたり、古くなると匂いが出たりすることがある、という理由でした。
いっぽうで、オリーブ材のまな板の輸入元などには「オリーブオイルでいい」としているところもあります。
なので、ここは断定しません。
僕のやり方は「ごく薄く塗って、しっかり拭き上げる」。
いまのところ、それで困ったことはありません。
匂いが気になる方は、食品用のミネラルオイルが安心だと思います。

中間の答え、ゴムのまな板
「木の刃当たりはほしい。でも、手入れをつづける自信がない」
そういう方には、中間の答えもあります。
合成ゴムのまな板です。
「ゴムの木」という天然の木がありますが、あれとは別物です。
こちらは、人工の素材。
刃当たりは木に近く、水をほとんど吸わないので、漂白剤も使えます。
料理の現場でも使う人がいる、実力のある素材です。
弱点は、重いことと、熱(だいたい90〜100℃まで)。
Sサイズで5,000円くらいから(2026年7月時点の目安です)。
まな板としては高めですが、木とプラのあいだを取りたい人には、いい答えだと思います。
ここまでを、並べておきます。
| 素材 | いいところ | 弱点 | 合う人 |
|---|---|---|---|
| プラスチック | 漂白できる・濡れたままでも平気・手頃 | 熱に弱い・刃当たりが硬め | ズボラに使いたい人 |
| 木 | 刃当たりがやさしい・削れば蘇る | 乾かす手間・黒ずみのリスク | 手入れができる人 |
| 合成ゴム | 刃当たりが木に近い・漂白できる | 重い・熱に強くない | いいとこ取りをしたい人 |
* * *
木とプラ、どっちが清潔なのか
最後に、衛生の話。
営業のあと、漂白剤のにおいの中でまな板を立てかけながら、ときどき思います。
ほんとうのところ、どっちが清潔なんだろう、と。
ここは煽らず、事実だけ並べます。
「木のまな板は不衛生」と言われることがあります。
いっぽうで、「木のほうが衛生的」という研究の話も、ネットにはよく出てきます。
後者の出どころは、アメリカのカリフォルニア大学デービス校で、1990年代に行われた研究です。
木のまな板につけた菌は、内部に吸い込まれて死んでいった。
傷だらけのプラのまな板は、手洗いでは菌が残った。
そういう内容で、この研究は実在します。
ただし、家庭での手洗いを前提にした話です。
業務の現場では、高温で洗えて、漂白できて、肉・魚・野菜で色分けできるプラが標準です。
先ほど書いたとおり、国のマニュアルにも、木は「極力避けることが望ましい」とあります。
そのいっぽうで、お寿司屋さんや和食の世界では、木のまな板がいまも現役です。
つまり、どちらかが一方的に正しい、という話ではありません。
条件によって、答えが変わる話なんです。
ひとつだけ、両方に共通することがあります。
菌は、水気が好きだということ。
木でもプラでも、ちゃんと乾かせているかどうか。
そこがいちばん効きます。
きちんと洗って、きちんと乾かせるなら、どちらも清潔に使えます。
それができないなら、どちらも汚れます。
僕の理解は、そのくらいです。
判断は、読む方それぞれにお任せします。
| よく聞く話 | 実際のところ |
|---|---|
| 「木のほうが衛生的」という研究 | 実在する。ただし家庭の手洗いが前提の実験(木は菌が内部で死に、傷だらけのプラは手洗いでは菌が残った) |
| 「業務用はプラ」という現実 | 高温で洗えて、漂白できて、色分けできるから。国のマニュアルも木は「極力避ける」(禁止ではない) |
| どちらにも共通する結論 | 菌は水気が好き。いちばん効くのは、洗って、しっかり乾かすこと |
ひとつ付け足すと、プラのまな板からは細かい削りかすが出る、という研究も近年ありますが、健康への影響はまだ分かっていません。
気になる方は、傷だらけになったら早めに買い替える。
そのくらいの付き合い方で、いいと思います。
この記事で紹介したもの
この記事に出てきたものを、まとめておきます。
押すと、その説明のところまで戻ります。買うところではなく、まず説明を読んでもらえたらうれしいです。
家庭で、まず選ぶなら
これでいい、と言い切れる。抗菌の耐熱プラ住べ 抗菌スーパー耐熱まな板↓木とプラの中間。刃当たりがやわらかいアサヒクッキンカット 抗菌ゴムまな板↓木を1枚だけ持つなら。立てて乾かせる土佐龍 四万十ひのき スタンド付きまな板↓店でも使っている木の板
店でも使い続けているオリーブの板BERARD オリーブウッド カッティングボード↓削れば蘇る。青森ひばのまな板梅沢木材工芸社 青森ひばのまな板↓まとめ
店では、プラ一択。
でも、オリーブの板だけは、店でも使っている。
矛盾しているようで、僕の中では、していません。
衛生と速さの道具としては、プラが最強。
人に出す一皿の一部としては、木にしかできない仕事がある。
家庭なら、こうです。
ズボラに使いたい人は、プラスチック。
手入れができる人は、木。
いいとこ取りをしたい人は、合成ゴム。

そして、木を選んだ人には、削り直しが待っています。
傷だらけになっても、削れば、蘇る。
包丁研ぎとおなじで、やり直せる道具は、長く手元に残ります。
うちの店には、これからも、プラスチックの二枚と、オリーブの一枚があります。
本日もお読みいただき、ありがとうございました。
それでは、おやすみなさい。
今日の一曲
今日の一曲は、Radiohead「Fake Plastic Trees」。
訳すと、「偽物の、プラスチックの木」。
プラスチックと木のまな板の話を書いて、読み返しているうちに、頭の中で、この曲が流れはじめました。
「まな板はプラでいい」と書いた夜に、この曲が流れてくる。
われながら、できすぎだと思います。
プラスチックが、悪者になりがちな時代です。
レジ袋が有料になって、ストローが紙になって。
でも僕は、素材そのものに善悪はないと思っています。
ちゃんと使って、ちゃんと手入れして、ちゃんと処分する。
問題はいつも、そこにあると思うので。
この曲が歌っているのは、偽物だらけの世界で、すり減りながら、それでも本物を求めてしまう気持ちです。
偽物を笑う歌では、ありません。
矛盾したまま、生きています。
プラの板で仕込みをして、オリーブの板でパンを出しながら。
Her green plastic watering can
For a fake Chinese rubber plant
In the fake plastic earth
That she bought from a rubber man
In a town full of rubber plans
To get rid of itself
It wears her out
It wears her out
It wears her out
It wears her out

