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低温調理器なんて、どれも同じだと思っていました。

設定した温度に湯を保つだけの機械。だったら、いちばん安いのでいいでしょ——。

1台目の僕は、本当にそう思って買いました。
2台目で、考えが変わりました。今日はその話です。

低温調理器の結論まとめ図
これ1枚で、この記事の結論です。

先に、結論だけ

本体は BONIQ 3.0。入れ物は純正コンテナと保温ジャケット。そして真空包装は BONIQ Vacuumer とセットで考える——これが2台使った僕の結論です。

機械の前に、鍋でやっていた

そもそも僕は、低温調理器を買う前から、同じ考え方の調理をしていました。鍋の湯温を温度計とにらめっこしながら、自分でコントロールする。道具より先に、作りたい料理があったからです。

店ではスチームコンベクションオーブンで代用もしていました。ただ、低温調理は時間が長い。何時間もスチコンを一品で占領するのは、もったいない。

それで、低温調理器を買うことにしたんです。

1台目——「能力は同じようなもんでしょ」

いろんなメーカーから出ていましたが、僕の見立てはこうでした。

「湯を一定温度に保つだけの機械。能力は同じようなもんでしょ」

それで、安いのを買いました。メーカーは……忘れました。それくらいの選び方だった、ということです。

実際、その初代でも仕事はできました。鍋やタッパーに水を張って、機械を挟んで、湯煎する。ただ、使い込むうちに、道具そのものではなく「入れ物」に不満が溜まっていきました。

  • 鍋もタッパーも保温性がない。何時間も加熱し続けるので、電気がもったいない
  • 低温調理に向いた背の高い容器が、家にはあまりない
  • 容器のフチの形によっては、マシンがうまく挟めない

初代は、前の店に置いてきました。

2台目——「助手」として選んだ

最近、あらためて低温調理器を買いました。今度は選び方が違いました。

出張ケータリングの現場で、僕の代わりに火入れを見ていてくれる「助手」として選んだんです。温度計と同じ理屈です。刺しておけば、見ていてくれる。設定すれば、保っていてくれる。そのあいだ僕は、別の料理を進められる。

選んだのは、BONIQ 3.0でした。理由は3つです。

  1. コンパクトだったこと。ケータリングは荷物との戦いです
  2. 3世代目まで、順調に改良されてきたこと。初代BONIQは2017年、2.0が2020年、3.0が2025年。続いているブランドは、少なくとも悪いものではない
  3. 純正の湯煎用コンテナと、保温ジャケットがあったこと。オプションですが、僕にはこれが決め手でした
初代といまの対比図
変わったのは機械より、選び方でした。

大当たりだったのは、入れ物

初代時代の不満は、ぜんぶ「入れ物」の問題でした。だから今回は、本体と一緒に純正のコンテナ(バルクアップコンテナ)と保温ジャケットを揃えました。

これが、大当たりでした。

サイズはマシンにぴったり。フチの心配もない。そしてウェットスーツと同じ素材のジャケットが湯温を守ってくれるので、湯温がぶれにくく、電気の無駄も減らせます(省エネの効果を数字で示す公式データはないので、ここは僕の実感です)。

本体より先に入れ物を褒める道具レビューも珍しいと思いますが、低温調理器は「湯をどう保つか」の道具なので、入れ物は本体の一部だと思ったほうがいいです。

僕の使い方

仕込みでは、自家製ハムと自家製ツナに。現場では、肉の火入れに使っています。あらかじめ低温調理しておいて、現場では表面を焼いて仕上げる。この段取りは鶏チャーシューの記事むね肉の記事で書いたとおりです。

自家製ハムは、鶏むね肉です。マリネ液に漬けてから真空パックして、63℃で60分。ワイナリー時代のレシピ帳では45〜50分でしたが、作りながら少しずつ伸びて、最終的に60分に落ち着きました。63℃という数字の意味と、肉の厚さで時間が変わる話は、記事の最後で紹介する安全の記事に書いてあります。そこだけは必ず読んでください。

自家製ツナは、マグロの柵に塩とハーブ。じつはこちら、コロナ禍のケータリングで作っていたもので、正確な温度と時間をレシピ帳に残せていません。低温でゆっくり、しっとり火を入れる——覚えているのは、それだけです。数字を書けないものは、書かないでおきます。

温度の正確さは、自分の温度計で答え合わせをしました。湯温が安定してからの誤差は0.2℃ほど。仕事で問題になるような誤差ではありませんでした(公式スペックは±0.1℃です)。

正直に書いておきます。BONIQは家庭用として設計されていて、公式には業務使用は対象外です。僕のように仕事の現場へ持ち出すのは本来の使い方の外で、温度チェックも含めて、自分の責任でやっています。この記事でおすすめするのは、家庭での使い方です。

ひとつだけ、焦った話

弱点も書いておきます。

BONIQ 3.0はスマホアプリで操作できて、仕込みではこれが便利なんです。ところがこのアプリ、Wi-Fi専用です(Bluetoothではありません。テザリングも公式には非対応です)。

ある日の現場にはWi-Fiがなくて、アプリが繋がらない。そして僕は、本体のボタン操作を覚えていませんでした。笑

一瞬、本気で焦りました。本体だけで全部操作できる機械なので事なきを得ましたが、外で使う人は、アプリを当てにせず本体操作を覚えておいてください。

真空包装と、セットで考える

最後に、大事なことをひとつ。

低温調理器は、真空包装とセットで考える道具です。袋の中の空気を抜いて湯に沈めるから、湯の温度がそのまま食材に伝わる。空気が残っていると、そこが断熱材になってしまいます。

どうせ買うなら、同じBONIQのVacuumer(真空パック機)をセットで選ぶのがいいと思います。セットだと安いし、コンパクトだし、僕もホットパックと合わせてケータリング現場の真空に使っています。

正直、僕も最初からセットで買っておけばよかったと思っているくらいです。笑

まとめ

「どれも同じでしょ」と安いのを買った僕が、2台目で学んだことはこうです。

機械の能力だけを比べるなら、たしかに大差はないのかもしれない。
でも「入れ物」「持ち運び」「真空との連携」まで含めた道具の全体で見ると、答えは変わる。
とりあえずBONIQ 3.0を買っておけば、間違いないと思います。

そして最後に、いちばん大事なこと。低温調理は、時間と温度の安全が全てです。機械を買ったら、まずこの記事を読んでください。

今日の一曲

くるり「ハム食べたい SCHINKEN」

ふざけた選曲に見えるでしょう。でも、大真面目です。

SCHINKENは、ドイツ語で「ハム」。ハムの本場ウィーンで作られたアルバム『ワルツを踊れ』の中で、くるりは堂々とハムを歌っています。

低温調理は、待つ時間の料理です。63℃で60分。マシンが湯温を見ていてくれるあいだに、この曲をどうぞ。ハム、食べたくなります。

ちなみに前回の記事に続いて、気づけば二回連続のくるりでした。

本日もお読みいただき、ありがとうございました。